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善知鳥

「善知」は海鳥の名前。「うとう」と読む。 「善知鳥」とも書き、「うとう」または「うとうどり」と読む。 鵜とは無関係で、発音は「ウト・ウ」ではなく「ウトー」。 鳴き声は「うとうやすかた」。 親鳥が子をさがして「うとう」と鳴くと、子は「やすかた」…

『今昔物語』の良門

平将門の遺児とされ江戸の芝居や小説で活躍する平良門(よしかど)はいつごろから知られた人物か。 今は昔、陸奥の国の国府に小松寺という寺あり。中ごろ一人の沙弥ありてその寺に住す。名をば蔵念という。これは平の将門が孫、良門が子なり。 ──『今昔物語…

謡曲「大江山」の一人武者

一人武者(独り武者)とは他にぬきんでた強い武者を意味し、人物の形容または代名詞的に使われる言葉なのだが、謡曲の「大江山」に出てくる一人武者には名前がない。 頼光「その主々は、頼光、保昌 供「貞光、季武、綱、金時 一人武者「また名を得たる一人武…

いそがしや沖の時雨の真帆片帆

これも『猿蓑』巻之一から。 真帆(まほ)は順風を受けて走るときの帆の張り方、片帆(かたほ)は横から風を受けて進むときの傾けた張り方。 ふいの時雨(しぐれ)に見舞われた舟があわてている。上五の「いそがしや」は孤舟よりも舟群を思わせ、そう解釈し…

女と同じ、ばかな奴らだ。

秀吉死す──。伏見城から流れだした知らせに接して、豊臣秀吉晩年の悪政に苦しんでいた民のあいだに歓声が広がっていく。太閤の死を見とどけた徳川家康は、ひとり城頭にのぼってその声を聞く。 家康は、よろこびにどよめく暗い下界を見わたして、苦っぽく笑っ…

哀れで笑える相合傘

艶二郎という商家のドラ息子、男前とはほど遠い人物なのだが、浮き名を立てたいとカネにあかせてあれこれ企てる。 まずは、はやり歌のレパートリーを広げておこうと、これが数十曲。女たちからの艶書もほしいと、偽造して部屋の状差しにはさんでおく。さらに…

芭蕉が読み違えた其角の秀句

これも『猿蓑』の句。明治の俳人・内藤鳴雪が「其角集中第一等の傑作」と評したという。 この木戸や鎖のさゝれて冬の月 其角 「鎖」は「錠」と同じ。したがって中七の読みは、ジョウノササレテ。 其角はこの句の下五を「冬の月」とするか「霜の月」かで決め…

昼のミミズクのとぼけ顔

これも『猿蓑』の句。 木菟やおもひ切たる昼の面 芥境 ミミズクヤオモイキッタルヒルノツラ。 「おもひ切たる」は、悟りすました様ともいえるし、そんな境地は通りこしてただボケてるだけともいえるが、どちらかといえば後者に近く感じる。夜は猛禽のミミズ…

あれ聞けと時雨来る夜の鐘の声

「あれ聞け」と誰が言ってるのかという宿題。 あれこれ考えたが結論だけ。 この句は語調のうえで次の箇所に切断がある。 あれ聞けと|時雨来る夜の鐘の声 けれどもこう切ったのでは、「あれ聞け」の発話者があいかわらず判然としない。そこで、次の箇所に意…

あれ聞けと…

あれ聞けと時雨来る夜の鐘の聲 『猿蓑』にある其角の句だけど、意味がわからない。 「あれ」は代名詞なのか、感嘆詞なのか。「聞け」と誰が(あるいは何者が)言ってるのか。聞くべき対象は鐘の音なのか。時雨にだって音はある。だから時雨のことではないの…