パリの相合傘、はじまりは19世紀前半か

1910年にパリで発表された『広い襟ぐりとあげ裾』の一節。(『パサージュ論』第1巻から孫引き)

今やもう扇子ではなく、傘である、まったく国民衛兵的国王の時代にふさわしい発明だ。恋の戯れに好都合な傘! 目につかない物陰がわりの傘。

男女が人目に隠れていちゃつく小道具として、「国民衛兵的国王の時代」にそれまでの扇子から傘が取って代わったという。
著者のジョン・グラン=カルトレ(1850-1927)は、政治、風俗、歴史と広い分野を手がけたフランスのジャーナリスト。「国民衛兵的国王」がルイ=フィリップ(在位1830-1848)を指すとして、パリまたはフランスにおける相合傘のはじまりは19世紀前半ということになる。

これは19世紀後半、1877年に描かれたパリの相合傘。
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- Gustave Caillebotte - Jour de pluie à Paris - Rue de Paris, temps de pluie — Wikipédia