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頼光四天王は境界の守護神

源頼光に従った「四天王」、渡辺綱(わたなべのつな)、卜部季武(うらべのすえたけ)、坂田公時(さかたのきんとき)、碓井貞光(うすいのさだみつ)は、土地の境界あるいは現世と異界の境界の守護神的な人物という説。以下、齋藤慎一『中世を道から読む』による。

渡辺綱は、淀川河口の渡辺を本拠として水運にかかわった渡辺党の祖とされる。渡辺という土地は、平安京から淀川流域において祓われたすべてのケガレが難波の海に流れこむのを見届ける重要拠点であり、境界に関係する人物として渡辺綱に着目できる。
主人の源頼光についても同様のことがいえる。頼光の屋敷は鬼の名所である一条戻橋の東詰めにあり、ここもケガレを流しこむ祓所であった。

卜部季武は、美濃国のある渡しで妖怪の産女(うぶめ)と渡りあったと『今昔物語集』に伝えられる人物。この伝えも渡し場という土地の境界にかかわる。
足柄峠に結びつけられる坂田公時(おとぎ話の「足柄山の金太郎」)、碓氷峠とかかわる碓井貞光(大蛇退治の伝説などが残っている)の二人は、いずれも京都から東国へむかう代表的な二つの峠に関係している。

頼光が四天王をひきいて酒呑童子を討った伝説も典型的。境界の魔所である大江山での鬼退治は、境界の守護者としての頼光一党の位置づけを反映している。