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善知鳥

文学

「善知」は海鳥の名前。「うとう」と読む。
「善知鳥」とも書き、「うとう」または「うとうどり」と読む。
鵜とは無関係で、発音は「ウト・ウ」ではなく「ウトー」。
鳴き声は「うとうやすかた」。
親鳥が子をさがして「うとう」と鳴くと、子は「やすかた」と応じる。この習性につけこんで猟師は鳴き声を真似、たやすく善知鳥を捕らえる。

ウトウは実在する。
- ウトウ - Wikipedia
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鳴き声の「うとうやすかた」に「善知安方」の字をあてて人名にしたのが山東京伝の読本『善知安方忠義伝』。この小説が、『前太平記』にある平良門の話を軸に謡曲「善知鳥」のエピソードを取り入れて書かれたことは、京伝自身があとがきで述べている。

善知鳥は外が浜(本州北端、陸奥湾沿岸を指す古来の地名)と結びつけて語られることが多く、謡曲「善知鳥」でも、

みちのくの 外が浜なる 呼子鳥 鳴くなる声は うとうやすかた

と歌われる。これを藤原定家の作とする説があるが確認されていない。

「伊賀寿太郎」の読み

芸能 歌舞伎 歴史

伊賀寿太郎の姓名の区切りは、伊賀|寿太郎か、伊賀寿|太郎か。
歴史物語の『前太平記』では「伊賀寿」と略称してるから、これが姓の可能性がある。
鶴屋南北の『四天王櫓礎』では、ト書きに「寿太郎」とも「伊賀寿」ともあって決めかねる。登場人物の台詞では「伊賀寿」の略称が使われている。

次のサイトの説明では、Iga no Jutaro(伊賀|の|寿太郎)。
From the Harvard Art Museums’ collections Actor Ichikawa Danjûrô 7th as Iga no Jutaro, with poems by Ikyôan Toshinobu and Shicido Kenba f:id:ukine:20170321185926j:plain

次の絵の中では、役名を2行に分けて「伊賀寿」で切っているから、伊賀寿|太郎か。
歌川豊国: 「市川団十郎 伊賀寿太郎」 - 演劇博物館デジタル - 浮世絵検索
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次のサイトの英文説明では、Iga Jutarô(伊賀|寿太郎)。ただし、Onikiri Maru mimasu no kakutsuba とすべきタイトルの区切りを、Marumi masu と間違えているので、必ずしも信用できない。
Kuniyoshi Project
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以上、調べてみたが答が出せない。
もしかすると、区切りが決まってなかったのかもしれない。

[追記 2017-03-25]『前太平記』に多くを拠った山東京伝『善知鳥安方忠義伝』(1806)では「伊賀寿」と略称している。とくに挿絵の説明で、

良門、山寨にいたりて伊賀寿太郎にあひ、妖術を施し姿を七人にみせて、太郎を味方に属せしむ。

と、「太郎」の略を用いているから、京伝は「伊賀寿|太郎」と読んでいたのがわかる。

『今昔物語』の良門

文学

平将門の遺児とされ江戸の芝居や小説で活躍する平良門(よしかど)はいつごろから知られた人物か。

今は昔、陸奥の国の国府に小松寺という寺あり。中ごろ一人の沙弥ありてその寺に住す。名をば蔵念という。これは平の将門が孫、良門が子なり。
──『今昔物語集』巻第十七第八話

Wikipediaの記事によれば、『今昔物語集』の成立は12世紀かとのこと、ただし同書が他の資料に見られるのは15世紀中頃からという。